No:6_キャバ嬢を辞めて正社員に転職するにはどうするの?
小中学生に将来の夢を聞くと「夢は正社員になることです。」と返ってきた。のようなことがまことしやかに言われていたりしますが、そもそも正社員とは何なのでしょうか。
まず、そもそも、この世に「正社員」という職業は存在しません。
また、正社員というポジションも私の知る限り日本と(あとは韓国?)ぐらいにしか存在しない特殊なポジションです。
今後、日本の政治が国際標準に近づこうと舵切りをするならば、この正社員という働き方はどんどん少なくなっていくでしょう。
今回のトピックでは、ざっくりとではあるが、このキャバ嬢を辞めて正社員になる。ということについて掘り下げていきます。
■正社員という仕事は存在しない。
繰り返しになるのですが、正社員という仕事は存在しません。世間一般で言われている正社員という言葉は概ね「無期雇用契約」の従業員というポジションの事をいいます。
※契約の期間を定める契約。例えばプロスポーツ選手の契約会見で、「2年契約です」というようなことを見たことが無いでしょうか。そのような雇用契約で働く人を契約社員といいます。
・無期雇用契約(正社員)
※同様に契約の期間を定めない契約。基本的に一度この雇用契約になった場合、定年までその会社で働くことができます。このような雇用契約で働く人を正社員といいます。
■そもそも、雇用契約とは何か?
皆さんもお店のマネージャーから、業務上の命令をされることがあるかと思います。
では、何故、従業員は命令に従わなくてはいけないのでしょうか?それは、従業員とお店の間に雇用契約が結ばれているからです。
雇う側と雇われる側、つまり、会社と従業員の間に雇用契約があるからこそ、会社は従業員に業務命令をすることができるのです。
※もちろん、あくまで法律の範囲の業務命令でしか有効ではありません。パワハラ、セクハラ、違法な業務命令を聞く必要はないです。
つまり、無期雇用契約とは、定年までの間、会社は貴方に対して業務命令を出す権利を持つ。という契約のことになります。
そして社会通念的に正社員は無期限の雇用契約が結ばれている従業員のことを指します。
■無期雇用契約のメリットとデメリット
会社側にとって従業員と無期雇用契約を結ぶのは大きなリスクを伴います。
皆さんも、ナイトワークで、いわゆるダメなオジサンの接客をしたことが無いでしょうか?
社長として、そういうダメな人をクビにしたくとも、よほどの重要な業務命令違反などが無い限りクビにすることはできません。日本の正社員は物凄く守られています。
社長にとって、正直なところ1年先、5年先、10年先のことなどわかりません。
そのため、将来、わが社のために役に立ってくれるだろうと思って雇用した人が、全くパフォーマンスの低い人になってしまうパターンを無くすことはできません。
社長から見た場合、無期雇用契約で新しい人を雇うということは、それほど大きなリスクを伴います。
ここら辺は、背景に政府が社会保障を企業に丸投げしているという政治の問題もあります。そのため、本トピックでは一旦、深くは扱いません。
■無期雇用契約でなければ人を採用できない。
では、何故、無期雇用契約というものが存在するのでしょうか。1つ目の理由は、昨今の人手不足です。
優秀な人材と労働契約を結ぼうとした場合、企業側は労働条件をよくしていく必要があります。
優秀な人材にとって有期雇用契約の仕事は魅力的ではないと考える場合も多いのでしょう。
もちろん、人手不足と言っても、分野によっては人間は余っています。「事務」や「秘書」や「受付」といった仕事がそうです。
「神の見えざる手」という言葉を聞いたこともある人もいるでしょうか。
値段を付けることができるものは、需要と供給のバランスによって、適正な価格・条件に収斂していきます。
経済合理的に考えた場合、企業の本音はパフォーマンスが高い人材を安い値段で雇いたいということです。
そして、優秀な人はなるべくよい条件で働きたいのです。
この世界は残酷なのだ。しかし、残酷ゆえにフェアでもあります。例外はありますが、労働条件は雇う側、雇われる側、両方に平等に作用します。
■無期雇用が存在する理由。2つめ。
無期雇用のメリットの2つめは、従業員が転職に対してパワーを使わず、本業に専念してくれる。ということです。
このブログを読んでいただいているナイトワーカーの方は多かれ少なかれ転職をしようかと思っているのだと思います。
正直な話、就職活動や転職活動というものは非常に疲れます。
真面目に就職活動をしている大学生に「大学時代の思い出は何ですか?」と聞くと「大学生活の思い出は就活です。」と言われるという都市伝説もあるぐらいですが、就職活動が忙しく、本業である学業に専念できない。とう問題提起は常に発生しています。
どこまで本当かはわからないですが、職場を探して、履歴書を書いたり、職務経歴書を書いたりというのは非常に疲れることではあります。
社長の立場としては、従業員に上の空で仕事をしてもらうのは非常に困ります。それは、うまい経営とは言えせん。
会社にもよりますが、従業員が安心して働ける場所を作ることは会社の業績向上のためにも必要なことでしょう。
そういった意味で従業員と無期雇用契約を結ぶということは会社にとってもメリットがあります。
■無期雇用と有期雇用どちらを選ぶか。
結論から先に言えば、ナイトワーカーの転職先としてお勧めしたいのは「どちらか」ではなく「両方」です。
無期雇用契約は従業員にとってのメリットは大きいですが、会社にとってはリスクが高いです。
いわゆる即戦力採用でなければ企業は無期雇用契約をしないでしょう。
重要なのは、まず実力をつけることです。無期雇用契約に固執して、経験を積めないよりは、有期雇用でも経験を積める職場で働き始めることが重要でしょう。
実際、有期雇用契約は会社側にとっては、リスクが低い契約であるため、採用される確率は高くなるでしょう。
そして、有期雇用契約でもよいので、仕事をすることで、自分はちゃんとした人間であるという信頼、すなわちキャリアを積むことが大切です。
無期契約になることはその後でも遅くはありません。
基本的に仕事というのは、信頼関係の積み重ねによって成り立っています。
真剣に働くことで積み上げた信頼に世の中は確実に気が付いてくれます。重要なのは、人材を使い捨てる気で雇用する戦略的ブラック企業で働かないようにすることです。
戦略的ブラック企業で働くことは、自分自身にとって意味が無いだけではなく、社会にとっても有害なことです。
正社員になることではなく、成長できる職場で、しっかりとキャリアを積むことが何より大切です。