No:30_キャバ嬢を辞めて弁護士秘書に転職するにはどうするの?
仕事をしていく上で重要なのは、生産性を上げることです。利益や儲けと考える場合もありますが、学校や病院など、必ずしも利益を求めていない仕事もありますので、生産性を上げることのほうがより最大公約数でしょう。
そして、生産性を上げるために必要なことは、分業です。複数のことを同時に行うよりも、1つ1つ細かく分割し、その1つにだけ集中することで、効果的に「慣れる」ことができるため、より上達することができます。
上記はどんな組織でも通用する普遍的なロジックですが、秘書の世界においては特に重要なロジックでしょう。
例えば、秘書と呼ばれる仕事で重要なことは、上司のサポートをすることです。そして、サポートとは上司が上司でなければできない仕事に専念できるような環境を作ることです。
このこと自体は、どの業界でも当てはまることですが、今回テーマとなる弁護士秘書という仕事においては特に重要な仕事です。
また、弁護士の秘書という仕事は夜の仕事で培われたスキルを活用することができる仕事のため、キャバ嬢のネクストキャリアとして非常に有望な仕事の1つということができます。
今回はこの弁護士秘書という仕事について掘り下げていきたいと思います。
■そもそも弁護士の仕事って。
税理士、行政書士、司法書士、中小企業診断士など、士業と呼ばれる仕事は色々とありますが、弁護士の資格があれば、法的にはどの仕事でも行うことが可能です。
弁護士の仕事というのは非常に幅の広い仕事であると言えるでしょう。
しかし、オールマイティーであることは、デメリットになる場合があります。ビジネスの世界は競争の世界です。個々の人間の能力に大きな違いがない以上、専門的にプロフェッショナリティを磨いた人のほうがその分野で優れたプロになることができます。
これを、ビジネス用語的には集中と選択といったりします。
※もちろん、普通の人と、弁護士になるような人とでは何倍もの能力差があるかもしれませんが、各分野のプロ同士の間では、地頭力という点では差はないでしょう。例えば、一流の料理人と一流の弁護士で、地頭に大きな差はありません。
だからこそ、上司である弁護士先生は、特定の分野の専門家というようにセルフブランディングをしている場合が多いです。何でもできるということは、一流同士の間では、弱点となる場合も多いです。
しかし、だからこそ、上司である弁護士が業務に専念できるよう、弁護士でなくてもできる仕事を秘書が代わりに行うことが大切になるのです。
■キャバ嬢ならではの弁護士秘書
上記のように、弁護士の仕事は非常に幅が広いため、秘書の仕事も必然的に幅の広い仕事になります。そのため、夜職で身に着けたスキルをどのような形で発揮していくことが必要になるでしょうか。
ポイントは緊急性が低い仕事&専門知識がいらない仕事。すなわち、定期的に行うヒアリングの仕事。昔風に言うならば顔見せ・御用聞きの仕事です。
弁護士のクライアントには大きく分けて以下の2種類があります。
■個人の顧客
※離婚相談、交通事故相談、金銭トラブルなど、個人間での係争に関する相談など。
■法人の顧客
※企業が法令違反をしていないかどうかの確認、契約書のチェックなど。
このうち、個人の顧客に関して、その相談を受けることは専門知識が必要なため、知識がない人は行うことができません。また、そもそも、資格がない場合は法令違反となるのでできません。
法人の顧客に関しても、法律相談に乗ることは専門知識が必要、かつ、違法行為なので行うことができません。法人のお客様に行く際は挨拶ぐらいしかできないでしょう。
しかし、この挨拶というのが非常に重要です。
心理学の世界に単純接触効果・ザイオンス効果というものがあります。人間は何回も会うことによって、その人への信頼感を持つようになる。という効果です。
このザイオンス効果によれば、法人の顧客に対しては、単に挨拶に行くというだけでも、顧客との信頼関係構築において非常に有効だと言えます。
そして、忙しい弁護士先生は顧客へのマメな挨拶をする時間を確保することは難しいでしょう。
元キャバ嬢の弁護士秘書が弁護士先生のために、大いに役に立てることは、忙しい先生の名代として顧客へ挨拶に行くことです。
もちろん、資格がないので、法律的なアドバイスをすることはできません。しかし、できることはあります。それは御用聞きです。
■顔を見せて、お困りごとをヒアリングする。
顧問先と弁護士先生の間で、常に100%の連携が取れているということはありません。弁護士の先生はプロですからあり得ない法的なミスはしないでしょうが、顧問先の企業は法的なミスをします。
そして、どういう時にミスが発生するかというと、顧問先が弁護士の先生に相談なく行動する時です。
何か新しい契約を結ぶ時、何か新しいプロジェクトを進める時、ビジネスで何か進捗があった時、素人目には見逃してしまいがちな小さなリーガルリスクが多数発生します。
そして、素人が気が付くのは、そのリーガルリスクがとても大きくなった時です。
大きなトラブルになる前に、相談してほしかったというのが、顧問弁護士の本音でしょう。しかし、素人である企業はそのリスクに気が付くことはできません。また、多少そのリスクに気が付いていたとしても、企業の側から相談をするケースは少ないのではないでしょうか。
どのような情報でも同じですが、基本的に重要な情報は自分から取りに行く必要があります。
この情報を取りに行くという行動が、キャバ嬢がナイトワークの世界で身に着けた「人の話を引き出す能力」を活かすことができるフィールドであり、上司である弁護士に貢献できるポイントでもあります。
忙しい弁護士先生に代わって、顧問先を回り、最近どんなことをしているのかをヒアリングする。もちろん、そこで行われる話は法的な要素は含むことはできません。あくまでビジネスの近況を伺い、その内容を上司である弁護士先生に報告するのです。
秘書の行動によって、企業はリーガルトラブルを大きく減らすことができるでしょう。
また、弁護士先生からのお願いをメールや電話ではなく、顧問先企業に対面で伝えることも重要でしょう。空間を共有することで伝わり方は大きく向上します。
「御用聞き&挨拶回り」。これを徹底して行うことが、コミュニケーション能力の高い元キャバ嬢秘書が弁護士先生に貢献しやすいことであると言えるでしょう。
■いっそ、自分が弁護士を目指す。
秘書の仕事をしているうちに、弁護士の仕事の面白さに気が付いたならば、自分自身が弁護士になるというのもありかもしれません。
昔と異なり、弁護士になることはだいぶ簡単になりました。法科大学院を修了するか予備試験に合格した後、司法試験に合格するというようなコースを経ることで、弁護士の資格を得ることはできます。もちろん、物凄く難しい試験ではありますが、働きながらの資格取得が可能な筋道は存在します。
今は、弁護士の数が増えたため、弁護士であるだけでお金を稼げる時代ではないです。だからこそ、弁護士の仕事が面白いと思える人でなければできないでしょう。
そして、本当に面白いと思えるかどうかは実際にやってみないとわかりません。もちろん、実際にやってみることはできないので、可能な限り近くで見ることが必要でしょう。
社会は目標に向かって頑張る人を必ず応援してくれます。