No:17_キャバ嬢を辞めてビンテージ業界・ブランド買取業に転職する。
水商売女性のネクストキャリアとして、ブランド買取業というのは非常に有望な仕事の一つです。
マーケットが広大で、年齢に関係なく働くことができ、努力と才覚次第で大きく稼ぐことができ、何よりナイトワークで培ったコミュニケーションスキルや、傾聴力といったヒューマンスキルを活用することができるからです。
もちろん、他の仕事と同じように、勉強することは多く、甘い世界ではありません。しかし、勉強を重ねることで、その奥の深さや広さが見えてくる非常にやりがいのあるビジネスであると言えます。
今回は、ブランド買取業。古物商という業界でナイトワーカーが活躍する方法について考察していきましょう。
■バリューチェーン分析
ブランド買取業の本質は、買取・加工（修理）・販売という、オーソドックスなバリューチェーンに落とすことができます。
どこでどのようなバリュー（価値）を発揮するかを明確に理解しやすくするためにビジネスの流れを鎖（チェーン）状に分解する手法。詳しくは下記リンクで。
１：仕入れ
※ブランド品を買い取る。いろいろと工夫ができる。
↓
２：加工（修理）
※買い取ったものが壊れていたり汚れていた場合、販売可能なレベルに修理する。
↓
３：販売
※修理された商品を販売する。買取と同様、いろいろと工夫ができる。
王道的な考えかたではありますが、やはり、競争力の高いビジネスを創造していくためには、ビジネスをバリューチェーンの手法で細分化し、それぞれどのように強みを創るかを検討することが原則です。
例えば、水商売をバリューチェーン化すると以下のようになります。
１：仕入れ
※お酒を仕入れる。接客してくれる女性を採用する。
↓
２：加工
※キャバ嬢の接客による付加価値付け。お店の雰囲気など。
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３：販売
※お店の外観や、お店のロケーションなど。
※高級店と大衆店での値段の違いは、お店の場所とそのお店にいるキャストの接客力が大きい。
水商売業界は大抵の場合、採用は大手の求人メディアやスカウトに依存しているため、競争優位性つけることはできません。また、ドリンクも基本的にどの店も同じものを扱っているため、競争優位性をつけることもできません。
立地は確かに重要ですが、立地はお金で買うしかありません。同様に競争優位性はありません。本質的に価値を生み出しているのはキャバ嬢の接客で、研修制度が充実してないお店の場合、研修部分も含めて価値を生み出しているのはキャスト自身です。
話をブランド買取に戻しましょう。ぱっと見レベルで、ブランド買取は買取・加工・販売の全てで競争優位性発揮のイノベーションを働かすことができます。
基本的にどこでもナイトワークで培ったコミュニケーションスキルを活かすことができるが、実際のヒアリングによると特にお勧めなのが、「買取」のパートです。
※「買取」意外にイノベーションを発揮するパターンも、いずれ取り上げてきます。
■「買取」×コミュ力
ブランド買取業界において、買取る対象は多岐にわたります。そして、そのジャンルは、コミュニケーションスキルが必要なものと、そうでないものに分けることができます。
例えば漫画やゲームなどは、ブックオフなどの大手リサイクルショップをはじめ、買取価格が既に決まっているため、市場価値的な「定価」が存在していると言えます。
また、「定価」がある商品については、今後メルカリなどの顧客同士が直接やりとりするシステムがどんどん進んでいくでしょう。
こういった、どこで買っても概ね同じ価格の商品のことをコモディティ商品といいます。
コンビニで扱われている商品をイメージしてもらえるとわかりやすいのですが、コモディティ商品を扱うならば、そこにコミュニケーションスキルはほとんど不要です。
事実、コンビニはＡｍａｚｏｎＧｏなどのように、無人化の流れがどんどん進んでいます。貴方がコミュニケーション力を活かして稼ごうと思うのならばコモディティ商品を扱うのは悪手です。
コモデティ商品は大量生産が可能なため、結局のところ価格競争になります。コミュニケーション力を活かして稼ごうと思った場合、重要なのは、非コモデティ商品を扱うことです。これに尽きます。
そして、だからこそのブランド買取なのです。
■ブランド買取人が発揮できる価値
例えば、皆さんは腕時計をしていますか？現代において時間を見るだけならば、スマホで十分です。どうしても腕時計が必要ならば、100円ショップなどに行けば、精度的には十分な品質の腕時計を買うことができるでしょう。
しかし、高級腕時計の市場というものは確かに存在し、身に着ける人にとってのある種の拘りを実現できるような創意工夫が多く盛り込まれています。
一般的な高級ブランド腕時計の上の価格帯には、職人が手作りをした腕時計というものが存在し、これは価格に上限がありません。
非コモデティな「モノ」というものは確かにこの世に存在し、「モノ」のあふれた現代だからこそ、自分という人間を表現するために、自分が好きなオリジナリティのある「モノ」が欲しいというニーズが存在します。
そして、自分が好きなオリジナリティのある「モノ」というものは、総じて「思い出」の品です。
自分にとって思い出のある「モノ」は、本質的にコモデティではないオリジナル商品であり、性質的に高値が付きます。
ブランド買取のバイヤーが活躍できる理由には、もちろん商品の目利きスキルは必要です。しかし、それ以上に「思い出を買い取る」というスキルが重要になってきます。
人間は思い出が詰まった「モノ」を簡単には手放しません。もし、手放すとしたら大切に使ってくれるであろう人や信頼できる人でしょう。
母親が自分の娘に自分の思い出の詰まった服や宝石を渡すというシーンは多いです。しかし、現代の日本において、そういった思い出の品を身内に渡すことができる人は幸運な一部の人でしょう。
高齢化の昨今、自分自身の思い出の品をどうにもできずに、死蔵している人は潜在的にはかなり存在します。
■「昭和で可愛い思い出の品」を買い取れる人
皆さんはスミックスという会社さんをご存知でしょうか。
連続テレビ小説の「わろてんか」などの衣装協力をした会社でもあります。
どのような会社かというと、昭和・戦前のモダンなお仕立て高級服を修繕し、時代を超えたアンティークファッションとして販売する会社です。本来の良さを損なわないレベルで現代風なアレンジも加えられているかもしれません。
現代では、ザラやユニクロのようなファストファッションが隆盛しており、安くて高品質な服を手に入れることができますが、昭和の時代、ちゃんとした服は高級品であり、修理しながら愛着をもって使う商品でした。
スミックスさんの凄い所は、おばあちゃんが大切にしていた洋服を現代風にアレンジするお針子さんとしての仕事だけでなく、そういった思い出の品を買い取ることです。
思い出の品はよほどの事情が無い限りお金では売りません。大切に使ってくれる人、信頼できる人に売ります。
だからこそ、ブランド買取という仕事はＡＩに代替することができない要素を多分に含んでいるビジネスだということがでます。
■キャバ嬢ならではのブランド買取
このブログで繰り返し書いていることではありますが、キャバ嬢のネクストキャリアとして有望な仕事は、人間と人間のコミュニケーションの仕事です。
ナイトワークで学ぶことができる人間と人間の関係を構築する力を発揮できるポジションで働くことが、水商売の女子が40歳・50歳・60歳になっても活躍できる方法でしょう。
もちろん、そこに至るためには、勉強が必要です。しかし、それは誰もが行わなくてはならないことです。
水商売で働くナイトワーカーは日々、お客様との関係構築のキャリアを積むことができます。
しかし、駆け出し人は、その関係構築力が、お客様から「お客様が大切にしている思い出の品」を買い取れるレベルにまで到達してはいないでしょう。
既に始まっている本格的な高齢化社会の中、死蔵されてしまっている価値のあるモノは多いです。
しかし、そういった価値のあるモノを買い取るためには、クライアントとの信頼関係・関係構築力が必要で、そして、そのスキルはナイトワークで十分に鍛えることができます。
ブランド買取という仕事は、ナイトワーカーとしてのキャリアが活かせる仕事であり、社会問題を解決するための非常に有益な仕事であると言えるでしょう。
